働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎが免疫力を低下させ病気を呼ぶ

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by 新潟大学大学院医学部教授 安保徹

 

病気になるかどうかは心の持ち方にある

白血球はその95%を顆粒球とリンパ球が占め、血液中を循環しながら、
外界から侵入した異物や、体内で発生した異常細胞を排除・処理しています。

そのさい、顆粒球は細菌や古くなった細胞の死骸など、
サイズの大きな異物を食べて処理します。

一方のリンパ球は、ウイルスなどの微細なサイズの異物に対し、
それを無毒化する抗体と呼ばれるたんぱく質をつくって処理します。

このリンパ球の働きが、いわゆる「免疫」ですが、
実は、リンパ球だけでは身体を守りきることはできません。

顆粒球とリンパ球、さらには残りの5%を占めるマクロファージの働きが加わって、
白血球の自己防衛システムは完成されているのです。

「白血球の自律神経支配の法則」は、
白血球中の顆粒球は交感神経、リンパ球は副交換神経の支配下にあり、
自律神経の働きに伴って、それぞれの数と働きが変動することを示したものです。

自律神経のうち交換神経が優位になるとアドレナリンが分泌されて体調は活動モードに入り、
副交換神経が優位になるとアセチルコリンが分泌されてリラックスモードに入ります。

私たちは、白血球中の顆粒球にアドレナリンの、
リンパ球にアセチルコリンのレセプター(受容体)が存在することを突き止めたことで、
その事実を明らかにすることができました。

つまり、交感神経が優位になると、アドレナリンに反応して白血球中の顆粒球がふえて活性化し、
副交感神経優位になるとアセチルコリンに反応してリンパ球がふえて活性化するという形で、
白血球は調整されていたわけです。

さらに研究を進めると、白血球の働きには、
顆粒球とリンパ球の割合が非常に重要になることもわかってきました。

 

自律神経がバランスよく働いているときの白血球は、
顆粒球54~60%、リンパ球35~41%となります。

両者がだいたいこの範囲に保たれていれば、
免疫力で十分に病気も撃退できます。

ところが、私たち現代人は、
働きすぎ、心の悩み、薬の長期使用などのストレスで、
交換神経優位の状態が続きやすい環境にあります。

そして、過度なストレスにより交感神経の一方的な緊張が促され、
それが固定化していくと、本来は免疫力を支える「自律神経=白血球」の連携があだとなり、
次のような障害を招いて、病気を作り上げていきます。

 

● 顆粒球過多

交感神経の緊張が続くと、血液中に顆粒球が過剰にふえます。

顆粒球は外から侵入した細菌と闘い、感染症を防ぐ働きをする一方で、
ふえすぎると体内の常在菌を攻撃して化膿性の炎症を起こし、
急性肺炎、急性虫垂炎、肝炎、腎炎、膵炎などを発生させます。

また、寿命を迎えた顆粒球は、臓器や血管などの粘膜上で、
強力な酸化力によって組織を攻撃する活性酸素を放出しながら死んでいきます。

体内には活性酸素を無毒化するしくみも備わっていますが、
顆粒球が過剰になるとその働きが追いつかず、
広範囲で組織破壊が進んでガン、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、白内障、糖尿病などの病気を引き起こします。

 

● アドレナリンの過剰作用

交感神経の緊張状態が続くと、
血管の過度な収縮から血流が障害されて、
心臓病や高血圧の発症が促されます。

また、血流とともに新陳代謝も低下し、
痛みやこり、しびれなどの症状が生じたり、
精神的緊張・興奮状態の維持によってイライラ、不眠、食欲減退などが起こったりします。

さらに、副交感神経の働きが抑制されてリンパ球が不足し、
カゼなどのウイルス感染が起こりやすくなったり、
排泄・分泌機能が低下して便秘、胆石、脂肪肝、ウオノメなどが起こりやすくなったりします。

 

このように見ていくと、現代人の抱える病気の大半が、
ストレスによる交感神経の緊張から引き起こされているのがわかるでしょう。

けっきょく、人間が病気になるかどうかは、その人の生き方しだいだともいえます。

ストレスのなかでも心の悩みや苦しみは、とりわけ強い引き金になります。

健康を願うなら、自分の性格をみきわめながら、心の持ち方を探ることも必要です。

 

 

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