体を統合的にとらえ病気を根本的に治す「新しい免疫学」

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 分析ばかりして治療に役立たない医学

民間療法や代替療法などを紹介するさい、「免疫力」という言葉がよく使われます。
免疫とは、病気から身を守るために体に備わる自己防衛システムですから、
その能力が高まれば、確かに病気の予防につながりますし、治癒も促されます。

しかし、それらの多くは経験に基づく治癒例を並べるだけで、
治療によってどのように免疫力が上がり、
病気から逃れられるのかという科学的・理論的な裏づけは、
ほとんど行われていません。
そのため、民間療法、代替療法に携わる医師も患者も、
どこかしらあいまいな気持ちを抱えて、
治療に取り組んでいるのが現状ではないでしょうか。

それは、現代医学における免疫学が、分析的研究に邁進してきた結果でもあります。

遺伝子、ゲノム、たんぱく分子解析など、
現代の医学は、人間の体のとてつもなく微細なしくみを解明する分野で、
めざましい成果をあげてきました。
しかし残念ながら、それらが直接的に治癒をもたらす医療に反映された例は、ほとんどみあたりません。

 

免疫学の世界も同様です。

病気がどうして起こり、治るのかという全体像をとらえることなく、
細分化した分析研究に突き進み、それらを総合的に把握しようとする研究者も見られません。

臨床免疫学の分野では、
分析的研究から出てきた結果を応用した対症療法で、
その場をしのぐことばかりしています。

このような状況では、免疫学が医学や医療の主流になり得るはずもないわけです。

私は、もっと統合的な視点で、免疫に代表される自己防御システムをとらえ、
その根本的な謎が解明されれば、免疫学は必ず真の治癒に役立つと信じて、
研究を続けてきました。

そして、1990年代に臨床医の福田稔先生との共同研究によって、
「白血球の自律神経支配の法則」を発見すると、
そこから人間の病気がどうして起こるのかという全体的なしくみ、
あるいは現代医学が病気を治すことができない問題点などが次々に見えてきたのです。

 

白血球の自律神経支配

白血球の自律神経支配

顆粒球は交感神経が分泌するアドレナリンのレセプターを持ち、
リンパ球は副交感神経が分泌するアセチルコリンのレセプターを持つ。
そのため、交感神経が刺激されると顆粒球がふえ、副交感神経が刺激されるとリンパ球がふえる。

 

白血球は自律神経が支配していると判明

まずは、その重要なキーワードである自律神経について、簡単に説明しておきます。
自律神経は、体を構成する約60兆個の細胞を、無意識のうちに調整している神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、
両者が環境や状況に応じてシーソーのようにゆれ動くことで、
私たちの体調は整えられています。

交感神経は体調を興奮させる神経で、主に昼間の活動時に優位に働きます。
交感神経が優位になると、その末端からアドレナリンという神経伝達物質が分泌され、
心臓の拍動を高め、血管を収縮して血圧を上昇させていくことで、体は活動的になります。

一方の副交感神経は、主に休息時や食事をするときに優位に働く神経で、
アセチルコリンという物質を分泌して心臓の拍動をゆるやかにし、
血管を拡張させて血流を促して心身をリラックスした体調に整えます。

また、副交感神経が優位になると細胞の分泌や排泄が促されて食欲がすすみ、排便も促進されます。

 

白血球は自律神経が支配している

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私と福田先生が突き止めたのは、
交感神経と副交感神経が、内臓や血管だけでなく、
血液中の白血球の数と働きをも調整しているという事実でした。

白血球は、免疫を含む自己防御システムにおいて、
きわめて重要な働きをしている血球細胞です。

つまり、わたしたちの発見は、自律神経の乱れが免疫力の低下を促し、
病気を発生させる原因であることを解明したのです。

これにより、昔から経験的にいわれてきた「病は気から」「ストレスは万病の元」という言葉の意味も明らかになりました。

精神的・肉体的ストレスは自律神経のバランスを乱す元凶で、
主に交感神経の緊張を促すことが知られています。
すなわち、ストレスが高じて交感神経の過度な緊張が続くと、
それに連動して白血球の働きも乱れてきます。
その結果として免疫力が低下し、あらゆる病気が発症するわけです。

 

対症療法に頼らない真の免疫学を提唱

こうして病気が起こるしくみがわかれば、おのずと治すしくみも見えてきます。

根本原因であるストレスを取り除き、
自律神経の働きを整えて免疫力を回復させれば、
どんな病気も根治に向かっていくはずです。

ところが、この生体の治療を阻止する方向に進んでいるのが、現代医療の実態です。
少しでも不快な症状を訴えれば医師は容易に薬を処方し、患者さんもそれをありがたがって飲む。
これが現代の医療の姿であり、やがて薬もどんどん強くなっていきます。

 

現代医療の問題点はここにあります。

実は、現代医学の強い薬は、その成分自体が体にとってストレスになります。
ちょっと体調が悪いといって、安易に薬を飲めば、
ストレス状態に拍車がかかり、自律神経の回復が妨げられて、体調はいつまでも改善しません。
こうして薬を手放せなくなり、
本格的な病気を生み出す土壌が作り上げられるという悪循環を、
現代医療は引き起こしているのです。

その原因は、
私たちが日常的に感じる症状
ー たとえば発熱、だるさ、痛み、下痢、セキ -
は、いずれも自律神経が本来の働きを取り戻し、病気から脱却するための治癒反応である
ことを、医師も患者も知らない、あるいは忘れてしまったことにあります。

 

もちろん、急性疾患などで症状が激しく現れているときは、
ある程度勢いがおさまるまでの一定期間、薬を使用するするのは有効です。
症状と薬の力のバランスがうまく働き合った場合には、よい形での治癒が期待できるでしょう。

しかし、ゆるやかに続いている症状を、
長期にわたって薬で無理やり押さえ込もうとすれば、
体はいつまでたっても病気を治癒させることができません。
近年、慢性疾患が治りにくく、難治化してきている原因も、突き詰めていけば、過剰な医療にあったのです。

こうして、
「あらゆる病気は、ストレスによる自律神経の乱れから免疫力が低下して発病する。
対症療法に頼らず、自律神経のバランスを整える治療や生活習慣を身につけて免疫力が高まれば、
自然と治癒に向かう」
という病気の全体像を見出した私たちは、
これを「福田ー安保理論」と名づけ、病気を根本から回復させる真の免疫学として提唱してきました。
この理論に基づき、自分自身の力で病気から脱却できた人も確実にふえています。

 

 

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