バランスのとれた食事とは・・・

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バランスのとれた食事とは・・・栄養学的条件を、すべてクリアした食事のこと

医者や栄養士はよく、バランスのとれた食事が大切であると言います。しかし、これほどあいまいに使われている言葉はありません。バランスのとれた食事が大切であると言う医者や栄養士自身が、それが実際にどのような食事を指すのかが分かっていないのです。具体的な指示を出さずに、どうして患者に食生活の改善を指導することができるでしょうか。それでは口先だけのきれいごとになってしまいます。平和、平和と言っていれば、戦争がなくなるかのように考える観念論と大差ありません。「バランスのとれた食事」とは、どこまでも具体的な内容によって示されるべきものです。

現代栄養学は、病気と健康についての徹底した科学的な探求に他なりません。この最新の栄養学の立場からは、バランスのとれた食事とは―「これまで明らかにされた栄養学理論を、すべて満たす食事」ということになります。

具体的に言えば、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素・食物繊維・薬理効果の高い植物栄養素を十分に含み、オメガ3とオメガ6の摂取比率が適正で、抗酸化栄養素・解毒栄養素・酵素をたっぷり供給できる食事のことです。

しかし、こうした栄養学的条件をすべてクリアした食事を栄養学理論に基づいて組み立てようとすると、それがいかに難しいことであるかがすぐに理解されます。あまりにも諸条件が複雑に入り組み、現実にどのようにメニューを立てたらよいのか分からなくなってしまうのです。現代栄養学の理論を忠実に実践しようとすればするほど、食事の組み立ては困難をきわめ、絶望的になってしまいます。

伝統的な日本料理・長寿村の食事をモデルにした「食事改善」

栄養学理論を実践に移すことの難しさ

栄養学の理論が分かっても、それを実際の食事改善に結びつけるのは容易なことではありません。「必須栄養素を満たす」という1つの条件だけにしぼって考えてみても、その難しさは十分に理解されるはずです。一定のカロリーの枠内で、50種類もある必須栄養素を過不足なく摂取できる食品の組み合わせを、短時間に、しかも毎日計算できるような人はいないでしょう。

10種類くらいの必須栄養素なら、何とか理論どおりの食事の組み立てはできると思うかもしれませんが、実際にメニューをつくってみると、すぐにカロリーの枠を超えてしまいます。まして50種類もの必須栄養素や食物繊維・酵素などを完璧に満たそうとすれば、毎日毎日、家畜なみに穀類や野菜を食べ続けなければならなくなってしまいます。

さて、ここで発想の転換が必要です―「正しい食事」は人間を健康にし、「悪い食事」は人間に病気をもたらします。私たちの食事が正しいものかどうかは、それを続けた結果に反映されるのです。つまり人々の健康状態は、それまでの食事が正しかったか、間違っていたかを示す指標と言えるのです。

こうした発想から、食事改善のヒントを探ることにしましょう。

伝統的な日本食への注目

現代栄養学が始まった頃、欧米の栄養学の研究者は、伝統的な日本人の食事に注目しました。なぜなら日本は欧米と肩を並べる先進国でありながら、国民の平均的健康状態が飛び抜けて高かったからです。ここで対象となった日本人の食事とは、現代人が一般に食べているようなものではなく、50年以上も前の日本人の食事のことです。

日本の伝統食についての研究の結果、さまざまな栄養学的事実が明らかにされることになりました。我が国の伝統的食事の中でも、特に刺身や多種類の発酵食品・大豆食品に関心が集まりました。そしてこれらが、日本人の健康と長寿を支えてきた大きな要因であることが突きとめられたのです。

今や欧米では、「日本食は健康によい」という認識が定着しています。そのため、鮨・刺身・豆腐・納豆といった伝統的な日本食が、海外で大流行するようになっています。多くの外国人が豆腐ステーキを食べ、すしバーにせっせと足を運んでいます。

ここに食生活改善の1つのヒントがあります。つまり食事改善の具体的モデルとして、「伝統的な日本食」を考えてみるということです。(※伝統的な日本食とは、昭和30年以前の食事のことです。)

長寿村の食生活

また日本人全般という大きな単位ではなく、「長寿村」という特定の狭い地域に注目しても、食事と健康の明確な関係を理解することができます。日本各地には昔から、長寿村として知られる村々が点在していました。そうした中で最も有名な長寿村が、山梨県の棡原です。(*現在の山梨県北都留郡上野原町)

長寿村という名前が示すとおり、そこでは90歳、100歳を超える老人たちを至るところで見ることができました。さらに驚くべきことは、その年寄りたちの健康レベルの高さです。かつての棡原では、80歳を超えた老人であっても畑仕事を日課とし、特別な病気で苦しむようなことはありませんでした。寝たきり老人は1人もなく、老人ボケや、糖尿病に代表される成人病とも全く無縁でした。年寄りたちは亡くなる直前まで普通に暮らし、ある日、眠るがごとく息を引きとっていました。まさに大往生という言葉がピッタリの、安らかな死を迎えていたのです。

これまで棡原は、多くの研究者によってさまざまな角度から研究されてきました。その結果、棡原の人々の優れた健康状態と長寿の要因の1つが、村人の日常の食事にあったことが明らかにされました。

しかし戦後、バス路線の開通にともない“陸の孤島”の生活は一変しました。村の若者たちの食生活はたちまち西洋化されたものになり、それと同時に、以前には存在しなかった現代病・成人病が急増するようになりました。村人の食生活は、伝統的な食事を続ける年寄りと、加工食品や洋食などの現代的な食事をする若者に分かれ、中年層の短命化が目立ち始めるようになってきました。やがて棡原は、かつての長寿村の面影を完全に失うことになってしまったのです。 

この棡原における出来事は、私たちが食事改善をするに際して、重要なヒントを与えてくれます。健康と長寿が当たり前だった当時の棡原の人々と同じような食事をするならば、彼らのような健康と長寿が得られる可能性があるということです。そして間違った食事を続けるなら、すぐに病気で短命化するということなのです。

伝統的な日本食・長寿村の食事こそが、食事改善のモデル

伝統的な日本人の食事と、長寿村の食事が、現実的に高い健康レベルをもたらしてきました。したがって、こうした食事をモデルにして真似ることが、そのまま根本的な食事改善になるのです。そして驚いたことに、日本の伝統食や長寿村の食事は、現代栄養学が明らかにした科学的な理論と多くの点で一致しているのです。現代栄養学の理論的内容を、ほとんどクリアしています。

つまり私たちが、かつての日本食や長寿村の食事をモデルにして、これにならう努力をするなら、個々の栄養学理論についてあまり神経質に考えなくても、結果として理想的な食事を組み立てることができるのです。日本の伝統食や長寿村の食事を真似ることによって、大半の条件を満たす食事をつくることができるのです。

20世紀の人類に病気をまん延させてきた欧米型の食事の特徴は、肉・油・砂糖・加工食品が極端に多く、野菜が少ないというものです。高タンパク・高脂肪・高カロリー・低食物繊維・低ビタミン・低ミネラルが間違った食事の特徴です。それに比べ、よい食事のモデルである昔の日本食や長寿村の食事は、見事なまでに正反対なのです。欧米型の食事の最も対極にあります。肉料理・油料理・加工食品はめったに食卓にのぼることはなく、多種類の野菜が日常的に摂られてきたのです。

「新・伝統食主義」の確立

これで私たちの食事改善の在り方が決まりました。「伝統的な日本食」と「長寿村の食事」をモデルにして、これに近づけていくことが改善の指針になります。ただし単に昔の伝統食を真似るのではなく、現代栄養学の最新の科学的知識を応用して、伝統食の利点を引き上げた、さらに強力な伝統食でなければなりません。ホリスティック栄養学が目指す食生活改善とは、こうした新しい伝統食なのです。この意味でホリスティック栄養学は―「新・伝統食主義」と言えます。

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